大判例

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東京高等裁判所 昭和40年(う)1168号 判決

判決理由〔抄録〕

被告人の原審並びに当審における各供述、被告人の司法警察員に対する供述調書、実況見分調書、当審証人高木茂夫及び同野沢照次の各供述を綜合考察すれば、本件事故当時、事故現場南方車道の歩道寄り網野金属産業株式会社前とそれより一五・六米北方歩道寄りにいずれも軽自動車が一台ずつ駐車しており、被害者は右手前の軽自動車を避けるため車道西側部分の中央寄りを進行したこと、被告人の自動車が右被害者の自転車を追い抜いた地点は、右手前の軽自動車の停車地点付近であったこと及び被告人の自動車は車道中心線を越えてはいなかったことが認められ、これらの事実からすれば被告人の自動車が被害者の自転車を追い抜いた際の両車の間隔は極めて狭かったことを窺うに十分であって、これに右追抜きの際の被告人の自動車の前記速度をも併わせ考えると、被害者は、被告人の自動車が自車の右側をすれすれに通過した際のいわゆるあおりを受けて自転車の運転を誤り前叙のように転倒するに至ったものであることが認められる。しかして、叙上の如く被害者が被告人の自動車のあおりによって自車の運転を誤り転倒するに至ったことは、ひっきょう被告人が被害者の自転車を追抜くにあたり、同車との間に十分の間隔を保って進路をとることをせず、漫然至近間隔で追抜いた過失に基因するものであることが明らかであるから、被告人は本件被害者の被った傷害につき業務上過失の責任を免れ得ないことはいうをまたない。

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